ものづくり補助金の枠・補助率・賃上げ要件と不採択理由
ものづくり補助金は2026年度に新事業進出補助金と統合され「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」になりました。革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の補助上限と補助率、付加価値額と賃上げの基本要件、審査項目から読み取れる不採択になりやすい計画を説明します。
2026年度の制度変更
従来の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は第23次締切で公募を終え、2026年度からは新事業進出補助金と統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として実施されています。第1回公募の要領は2026年6月29日に公開され、申請締切は当初の9月30日から後ろ倒しされて2026年10月30日18時、採択発表は2027年1月の予定です。この記事は第1回公募要領に基づきます。
3つの申請枠と補助率
| 枠 | 補助上限(従業員数別) | 補助率 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 1〜5人 750万円、6〜20人 1,000万円、21〜50人 1,500万円、51人以上 2,500万円(下限100万円) | 中小企業 1/2、小規模事業者・再生事業者 2/3 |
| 新事業進出枠 | 1〜20人 2,500万円、21〜50人 4,000万円、51〜100人 5,500万円、101人以上 7,000万円(下限750万円) | 中小企業 1/2 |
| グローバル枠 | 新事業進出枠と同じ | 中小企業 2/3 |
賃上げ特例(1人当たり給与支給総額の目標を年平均6.0%以上に引き上げるなど)を適用すると上限が上がり、革新的新製品・サービス枠で850万〜3,500万円、新事業進出枠とグローバル枠で3,000万〜9,000万円になります。地域別最低賃金引上げ特例に該当する事業者は、補助率が1/2から2/3になります。
革新的新製品・サービス枠は、自社の技術を活かして顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービスの開発が対象で、既存製品の生産プロセスの改善や、機械を入れるだけで新製品の開発を伴わないものは対象外です。新事業進出枠は、自社にとって新規性のある製品等で、自社にとって新たな市場に進出する事業が対象です。既存製品の増産、製造方法の変更、単なるメニューの追加、商圏が違うだけのものは該当しません。グローバル枠は、新たな海外市場への輸出に向けた国内の製造拠点強化が対象で、取引先主導の事業は対象外です。
対象経費は機械装置・システム構築費が中心で、技術導入費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費などが加わります。新事業進出枠とグローバル枠では建物費も対象です。機械装置は単価10万円(税抜)以上に限られます。
基本要件と賃上げ要件
すべての枠に共通する基本要件は3つです。補助事業終了後3〜5年の事業計画期間で、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を4.0%以上とすること。1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上とすること。事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金より30円以上高い水準にすることです。すべての申請者に、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を申請締切日までに策定・公表することも求められます(公表の手続きに1〜2週間かかります)。
賃上げの要件は目標ではなく約束です。計画期間の最終年度に1人当たり給与支給総額の目標を達成できなかった場合、達成率に応じて補助金の返還を求められます。事業場内最低賃金が基準を下回った年度があれば、補助金交付額を計画年数で割った額の返還が必要です。付加価値額が伸びなかった場合の例外などは公募要領で確認してください。
審査項目
書面審査の項目は公募要領に公表されています。補助対象事業としての適格性(要件を満たすか、経費が真に必要かつ合理的な額か)、経営戦略との整合性(これまでの事業との一貫性、外部環境と自社の強み・弱みを踏まえた競争優位性、課題認識の適切さ)、事業の実現可能性(目標値の高さと実現可能性、体制、顧客ターゲットとニーズの裏付け、スケジュール、財務状況と資金調達の見込み)、新事業進出枠に限った新市場性・高付加価値性、公的補助の必要性(経済波及効果、費用対効果、補助がなくても自社で容易にできる事業ではないか)、政策面です。基準値を上回る高い目標値は、その高さと実現可能性の両方を見て審査されます。
不採択になりやすい計画
審査項目を裏返すと、落ちやすい計画の型が見えます。1つ目は、枠の定義に合っていないものです。既存製品の増産や生産効率の改善を革新的新製品・サービス枠で申請する、既存の顧客層向けのメニュー追加を新事業進出枠で申請するといった計画は、適格性の段階で外れます。2つ目は、数値目標に根拠がないものです。付加価値額や給与支給総額の目標値は算出根拠を具体的に示すよう求められており、単価と数量の前提がない売上計画は実現可能性で評価されません。3つ目は、第三者への過度な依存です。外部が書いた定型の計画や、外注先に実施を丸投げする体制は「第三者に過度に依存している事業ではないか」という項目に正面から当たります。4つ目は、財務との乖離です。過去の経営指標と連続性のない売上計画や、自己資金・借入の裏付けがない投資額は減点されます。5つ目は、添付書類の不備や、見積・従業員数を示す証拠書類の不足で、審査以前に対象外になります。
計画は事業者自身が書き、電子申請も事業者自身が行います。報酬を得て申請書類を作成できるのは行政書士に限られます。計画の書き方は採択される事業計画の書き方にまとめています。
出典
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(ミラサポplus掲載PDF): https://mirasapo-plus.go.jp/wordpress/wp-content/uploads/2026/06/30141726/shinmono_application_guidelines_01-1.pdf
- ミラサポplus 制度紹介とスケジュール: https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/33311/
- ものづくり補助金総合サイト(第23次締切で公募終了): https://portal.monodukuri-hojo.jp/