デジタル化・AI導入補助金2026の補助率と申請の流れ
IT導入補助金から名称が変わったデジタル化・AI導入補助金2026について、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の補助率と補助額、150万円以上で必須になる賃上げ要件、IT導入支援事業者と共同で行う申請の流れ、締切日、キャッシュバックなどの不正行為を説明します。
制度の位置づけ
デジタル化・AI導入補助金2026は、IT導入補助金の名称を2026年度から改めた制度で、中小企業・小規模事業者がソフトウェアやクラウドサービスを導入する費用の一部を国が補助します。事務局は、中小企業基盤整備機構の採択を受けたTOPPAN株式会社が運営しています。申請枠は、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです。
他の補助金と違うのは、ソフトを自由に選ぶのではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が登録済みの「ITツール」の中から選び、その支援事業者と共同で申請する点です。導入後の実績報告と3年分の効果報告も支援事業者と一緒に行います。
枠ごとの補助率と補助額
通常枠の補助率は1/2以内です。補助額は、業務プロセスを1種類以上持つソフトで5万円以上150万円未満、4種類以上で150万円以上450万円以下です。対象経費はソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)で、オプションと導入設定・研修・保守などの役務を加えられます。地域別最低賃金の近傍の時給で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が直近1年で3か月以上ある事業者は、補助率が2/3以内に上がります。
インボイス枠のインボイス対応類型は、会計・受発注・決済の機能を持つソフトが対象です。補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超から350万円までの部分は2/3以内です。ソフトの使用に必要なPC・タブレット等は1/2以内で10万円まで、レジ・券売機等は20万円までが対象で、ハードウェアだけの申請はできません。電子取引類型は、発注側が受発注ソフトを導入して受注側に無償でアカウントを発行する形態で、350万円以下、中小企業は2/3以内です。
セキュリティ対策推進枠は、IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のうち事務局に登録されたものが対象で、5万円から150万円、補助率は1/2以内(小規模事業者は2/3以内)です。複数者連携枠は、商工団体やコンソーシアムが複数の事業者分をまとめて申請する枠で、グループ全体の上限は3,000万円です。
賃上げ要件
通常枠で150万円以上を申請する場合、1人当たり給与支給総額を年平均3%以上伸ばし、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くする3年間の計画を策定し、交付申請の時点で従業員に表明していることが必須です。150万円未満では加点項目ですが、IT導入補助金2022から2025の間に交付決定を受けた事業者は、150万円未満でも年平均3.5%以上の計画が必須になります。労働生産性を年平均3%以上向上させる計画もすべての申請に必要です。達成できなかった場合は、未達の年度に応じて補助金の返還を求められます。
申請の流れ
最初にGビズIDプライムを取得します。事務局のページでは発行までおおむね2週間とされており、取得の手順はGビズIDプライムの取得手順と所要期間にまとめています。あわせてIPAのSECURITY ACTIONで一つ星または二つ星を宣言します(宣言済IDの発行までおおむね2〜3日)。
次に、事務局の「ITツール検索」で自社の課題に合うツールと支援事業者を選びます。支援事業者から申請マイページへの招待を受け、事業者自身が基本情報を入力し、支援事業者がITツールの情報と事業計画値を入力し、最後に事業者自身がマイページで内容を確認し、宣誓して提出します。交付決定の通知が届いてから契約・発注・支払いを行います。交付決定前に契約や支払いをしたものは補助対象になりません。導入後に実績報告を提出し、補助金が振り込まれます。その後3年間、毎年効果報告を提出します。
スケジュール
2026年度の交付申請は2026年3月30日に始まりました。直近の締切は6次の2026年10月30日17時で、交付決定は12月10日の予定、事業実施と実績報告の期限は2027年5月31日17時の予定です。7次以降の日程は事務局の事業スケジュールのページで確認してください。
不正とされる行為
事務局は不正行為の例として、ITツールの購入費用を後日返金する、紹介料やコンサル料の名目で金銭を受け取るなどの実質的な値引き、GビズIDを他者と共有して申請マイページの開設や交付申請を代わりに行わせる行為、ツールを導入しない・研修を実施しない、同じ経費で他の補助金と二重に受給する、従業員数を少なく申告するといったものを挙げています。「補助金が出るので導入費用の一部をキャッシュバックします」という営業は、この実質的な値引きに当たります。不正と判断されると交付決定の取消しと返還請求、支援事業者の登録取消し、事業者名の公表が行われます。
申請は事業者自身がGビズIDで行うものです。支援事業者の役割は、ツール情報と計画値の入力、導入とサポートという制度上定められた範囲で、事業者に代わってIDを操作することは含まれません。なお、報酬を得て官公署に提出する書類を作成する業務は、行政書士法により行政書士または行政書士法人に限られています。
出典
- 通常枠(事務局): https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/
- インボイス枠(インボイス対応類型): https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbase/
- インボイス枠(電子取引類型): https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbased_invoice/
- セキュリティ対策推進枠: https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/security/
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠: https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbased_multiple_companies/
- 公募要領 通常枠(第7回公募〜、2026年10月9日): https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kaitei_koubo_tsujyo.pdf
- 新規申請・手続きフロー: https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/
- 事業スケジュール: https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/
- 不正行為について: https://it-shien.smrj.go.jp/antifraud/